お腹の張りの原因が腹水の場合とガスの場合の違いと見分け方
何かと不快なお腹の張りですが、単に腸内にガスが溜まって起きるものの他に腹水による張りも起こりえます。
今回は腹水が原因のお腹の張りとガスによるお腹の張りと腹水によるお腹の張りの違いと見分け方について解説します。
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腹水とは?
腹水とは読んで字のごとくお腹の中に液体が溜まることです。
原因はいくつかあり、主に肝疾患によるものが一般的です。
とくに急性疾患よりも慢性疾患の方が起こりやすいようです。
肝硬変など慢性的な肝疾患になると門脈圧亢進症という腸から肝臓に続く静脈とその分枝の血圧が上昇したままになる病気が起こります。
これは肝硬変などで肝臓の血流が阻害され、渋滞を起こした血液の圧が門脈周辺の血管を圧迫している状態です。
さらに肝硬変を患うと血液中にあるアルブミンという血液の水分を保持するたんぱく質が減るため、血圧が高くなった門脈の血管壁から血液の水分が漏れ出し、腹腔内に溜まって行きます。
これが腹水として溜まるのです。
こういった血管から漏れ出した腹水はうっ血性腹水と呼ばれ、腹水の症状の多くを占めています。
まれに肝臓と直接関係のない心不全や腎不全でも起こります。
うっ血性腹水以外にも、腹膜炎などの炎症により滲出した炎症性腹水や悪性腫瘍による悪液質が血中アルブミン量を低下させて起きる悪液質性腹水などがあります。
腹水の症状
腹水がたまり始めても最初はほとんど自覚症状はありません。
1?ほど溜まってくると下腹が出て、胴回りが太くなってきます。
この場合も単なる肥満と勘違いしてしまいますが、腹水の場合下半身がむくみやすくなってきます。
そして重度となり5〜10?と大量の腹水が溜まってしまうとまるで妊娠したかのような腹部の膨隆が起こり、各所の内臓を圧迫してお腹の膨満感や食欲不振、吐き気や息切れなどの体調不良を引き起こします。
また、腹水が溜まっている場合の合併症として、突発性細菌性腹膜炎があります。
これは腹水と肝硬変を患っている患者(特にアルコール中毒者)に起こり、腹部の不快感から圧痛、発熱から錯乱や見当識障害に陥り、時には死に至ることもあります。
再発性の高い厄介な病気でもあり、抗菌薬による早期の治療が大切です。
また、腹水の治療には特効薬があるわけでもなく、低ナトリウム食による食事療法と利尿剤による体液の排出が主になってきます。直接腹腔に針を刺して腹水を抜き取る処置もありますが、体の状態を改善しないとまた腹水は溜まってきてしまいます。肝数値が悪い方は気をつけましょう。
腹水の見分け方
初期の腹水では自覚症状がほとんど無いため単に太ったのかお腹にガスが溜まったのか腹水なのかの区別は難しいようです。
医師による打診によって、音の質でガスが溜まったのか腹水かは判別できるようですが、それでも1?以下の場合は判別が難しいようです。
他には超音波検査やCT検査でわかります。
腹水が溜まる原因として肝臓疾患が主であるので、普段の健康診断で肝数値が悪く、足がむくみやすいなどの症状があり、特に便秘でもないのにお腹の張りが消えないようでしたら一度病院で検査をしてもらうことをオススメします。
また、献血や血液検査で血中アルブミン値が標準より低く出ている場合も疑ってみるほうがいいでしょう。
まとめ
- 特に肝疾患を患っている人に多いが、腹膜炎や癌などが原因となることも
- 重度の場合お腹の膨満感や食欲不振、吐き気や息切れなどの体調不良を引き起こす
- 合併症の突発性細菌性腹膜炎を引き起こすと命に関わる場合も
- 初期症状はほとんど無く、1?以上溜まらないと医者にも判別が難しい